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日本女性一人ひとりの生涯にわたる”美しさを拓く”ー。 
 
オージュアメディアでは、”Beautiful Way”と題し、日本で活躍する今最も輝いている女性をゲストに迎え、 お一人おひとりの行き方に迫っていきます。Beautiful Way、それは、自分らしく美しく生きてきた軌跡。自分らしく輝いていく道標。 
 
心の迷いや葛藤から一歩前に踏み出すためにどのようなきっかけがあったのか。自分らしい美しさとは何なのか。美しく生きたいと願うすべての女性に向けてお届けします。 
 
第一弾のゲストは、ヴァイオリニストの松田理奈さん。「自分がこういう道を辿って、こういう場所にいるなんて全く予想していなかった」と語る松田さんは、どのように目の前の壁を乗り越えてきたのか。彼女を支えてきたその道の”プロ”の存在とは。全2回に渡り、松田さんの素顔とその生き方に迫っていきます。

アーティスト像と本当の自分とのギャップ

― ブログやInstagramも拝見させて頂いて、垣間見える「日常の自然さ」にとても驚きました。演奏家として、母として、女性として。全てを自然に両立させる難しさはありませんか?

松田さん 切り替えの難しさはあります。例えば、朝、子どもと「僕、パトカーに乗ったんだ♪」みたいな可愛い絵本を読んだ後、緊張感のある曲を弾いたり(笑)使う脳の場所が全然違う感覚です。 
 
それと、自分自身の自然体と演奏家 松田理奈としての「アーティスト像」とのギャップもあって、どちらを優先させるかっていうのは、この10年で大変学んだところでした。
これまでに出させて頂いた4枚のアルバムを通じて「松田理奈は、格好良くいなきゃいけない」というようなイメージがついてしまったような気がして。

自然な私から生まれる音が「今の音」

松田さん ヴァイオリンをやっているというと、「生まれのいいお嬢様」「音楽家の一族」っていう印象を持たれることが多いと思うんですが、私自身、本当に普通の家庭の生まれでした。 
それでも、自分がやりたいと言ってやっていた音楽だったので、バイトもたまにしながら学校に通って音楽の勉強をしている時期もありました。

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©原地 達浩

松田 理奈(まつだ りな) ヴァイオリニスト。神奈川県出身。ドイツ・ニュルンベルク音楽大学在学中の2006年にCDデビュー。伝統ある”日本音楽コンクール”での1位を始め、これまでに数々の賞を受賞。全国数カ所での無伴奏ヴァイオリンリサイタルなど、デビュー10周年の節目となる2016年も精力的に活動中。10月31日には、ハンガリー国立フィルとの共演もあり、期待が高まる。公演の詳細はこちら

こういうバックグラウンドの私なのに、アーティスト像を裏切りたくないと思って当時は頑張ってしまったんですけど、結果、全然自分に合っていませんでした。 
 
私が普段の生活をして、何を感じて、何を思ったのか。こういう自然な私から生まれる音が「今の音」で、それを届けるのが最大の仕事なんじゃないかなと思うんです。優先順位は「本番の演奏」にあると気付けたからこそ、自然体でいることを大切にしようと思いました。

自分本位の見せ方から”見られ方”へ

― “演奏が一番大切”とはいえ、たくさんの人から見られるお仕事だと思います。内面だけでなく、外見の美しさに関して、何か気を付けていることはありますか?

松田さん お客さまの立場になったときに、演奏家がどんな風にステージに上がってきたら気持ちよく音楽を楽しんでもらえるかというのは考えますね。

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舞台袖からコソコソっとステージに上がってくるヴァイオリニストって嫌かなー、と思います。それよりも、笑顔でしっかり背筋を伸ばして、お客さまに身体をまっすぐ向けながら演奏する場所まで歩いて行った方が、お客さまも安心してくださると思います。

外見の美しさというより、出で立ちそのものを意識するようにしています。

― 以前より、お客さまのことを思えるようになったんですね。

松田さん 自分本位の”見せ方”から、お客さまの立場になった”見られ方”を重視できるようになったと思います。

一度、右脳と神経の疲労が原因で左腕を壊してしまったことがあって、3ヶ月ヴァイオリンを弾けない期間があったんです。ドイツで倒れたその日は、左半身が全部動かなくて、顔面神経痛から顔も誰かわからないくらいひどくて。

ずっとヴァイオリンを弾いてきて、突如ぽっかり空いてしまったこの期間に、とにかく他の演奏家さんのコンサートにお邪魔したんです。本当に毎晩。そこで初めて、お客さまの気持ちがわかりました。

ヴァイオリンのリサイタルってこんな空気で、演奏家はお客さまからこんな風に見えているんだ、と。

もちろん私が故障してしまったことで、たくさんの方々にご迷惑をおかけしてしまったので、本当に自己管理の甘さを痛感しましたし、謝罪して回ったんですが、私にとっては必要な期間だったんだと思っています。 
 
それまでは弾くだけで精一杯だったのが、怪我の功名じゃないですけど、あのタイミングがなければ、”見られ方”には気付けなかったと思います。

渦の中にいるような毎日に、ふわっと緩む瞬間を

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― 曲や音の表現を突き詰めるために大切なひらめきや気付き。それらを生むために決めているルーティンワークや心構えがあったら教えてください。

松田さん まさに、”自然体な心でいること”を大切にしています。

結構難しくて、私もできなくなることが多いんですが、極力余裕を持つこと。少しでも余裕を感じることができるとその感覚が記憶に残ったり、後のひらめきや気付きの糧になったりします。 
 
晴れの日に大きな公園の地べたに寝に行くのが私のおすすめです。私は玄関に大きいピクニックマットを常においていて、晴れたら娘と近くの公園にピクニックに行っています。

やっぱり毎日考えることも多かったり、何かに追われていたり、割と”渦”なことが多いんです。何かそれをふわっと緩める瞬間をつくるために、私は大地に寝そべって、自然を感じるようにしてるんです。 
 
やっぱり、私は常に音楽が頭の中で鳴ってしまっているんですが、公園の大地に寝っ転がりながら、取り組んでいる曲を頭の中で歌うと、それまで詰まっていたのに全然違う発想がでてくるんです。

― これは音楽家の方だけじゃなくて、一般の方にも応用できるかもしれないですね。

松田さん 毎日忙しく、張り詰めているからこそ、自然の中でそういうふわっと緩む時間を取るのが大事なんだと思います。普段とは別の環境で取り組んでみると、頭がリフレッシュされて、違ったアプローチが浮かんでくるのかもしれないですね。

弱さや痛みを知る美しさ

― いろいろな方々と出会われている中で、松田さまが素敵だな、と感じるのはどんな女性ですか?

松田さん 素敵な女性が多すぎて難しいですね…。それぞれいろいろなジャンルにいらっしゃるので。“強い”っていうのもちょっと違うんです。 
 
この方は、”弱い気持ち”や”痛み”を知っていらっしゃるんだって感じた時に、「美しい方だな」と思います。ただ強いだけじゃなくて、痛みを感じながら生きてこられた方の方が輝いて見えるんです。

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― 見た目の美しさだけではなく、生き方やその人の背景も含めての美しさ。

松田さん 輝けるポイントが一つあるだけで本当に美しいと思います。
笑顔なのか、眼の奥の透明さなのか、気遣いなのか。いろんな美しさがあると思います。 
 

演奏していても同じことを強く感じるんです。美しい音は、世の中にたくさん存在していて、でもその一音一音がどう美しいかっていうのは、曲の中の一瞬一瞬でしか存在していないんです。逆にその音だけだとざらついて聴こえる音だって、美しい芸術になるんです。 

弱さや痛みも、全て含んだところにトータルの美しさがあるんだと思います。 

インターネットが普及して”良い子像”が広がっていたり、こういうモデルさんが人気だからこんな人が綺麗だ!とか、”美しい像”が、今までよりくっきり皆さんの頭の中に映る社会になっていってると思うんです。痩せなきゃいけない、とか、こう振る舞わなきゃいけない、とか。

こういうのは本当に心苦しく思うんです。美しさは一つじゃないですからね。 
 

弱い気持ちや痛み、嬉しい気持ち…その人一人ひとりのバックグラウンドも含めた、その人だけの美しさがあると思うんです。ぜひお一人おひとりが持たれている、美しい、輝けるポイントを大切にしてあげてください。

“Beautiful Way” ―自分らしく美しく生きていくこと。をテーマに始まった、オージュアのスペシャルインタビュー。 
 
なかでも印象的だったのが、松田さんの「美しさの捉え方」でした。 
 
弱さや痛みを知っている美しさ。輝けるポイントが一つあるだけですごく美しいこと。そして何より、「美しさは一つじゃない」ということ。これらは、オージュアが掲げている「その人の髪にその人のオージュア」というブランドコンセプトと重なってきます。 
 
髪質のお悩みだけではなく、地肌・気候・美容習慣など、日本女性から寄せられたお悩みは134種類に登ります。お一人おひとりのお悩みに寄り添うことのできるように。そして、松田さまのお話されていた、”一つじゃない美しさの形”を表現するお手伝いができるように。 
 
これからもオージュアは、オージュアソムリエの皆さんとともにオーダーメイドのヘアケアを届けて参ります。

Writer aujua