milboneye0114.jpg
LINEで送る
Pocket

「年齢とともに根元から髪のシルエットが崩れてしまうようになった…。」

というご経験はありませんか?せっかくセットした髪も、髪の根元がふわっとしていない髪は、なにか物足りなさを感じますよね。弾力がある健康的な髪には、根元のふんわり感が欠かせません。

今回は、根元から美しいシルエットを持つ髪へ導くために行われた、基礎研究についてお話します。

根元の美しいシルエットを保つためのカギ

key
年齢とともに根元からシルエットが崩れる理由として、「髪が細くなってしまうことで起きるボリュームダウン」ということは分かっていましたが、ボリュームダウンする要因が分かっていませんでした。その要因を解明するため、根元が立ち上がっている人の髪の方とそうでない方の髪の毛髪内部を調べることから研究が始まったのです。

まず、根元が立ち上がっている人の髪の方とそうでない方の毛髪を比較しました。

比較したところ、根元が倒れ始めた髪の方の毛髪内の密度が低くなっていたことが発見されたのです。根元が倒れ始めた人の髪の密度が低くなっている(つまり度合いが変わっている)ことは分かったのですが、「何が少なくなったか?」ということや「毛髪内でどのようになっているか?といった疑問が残りました。

ハリのある髪の毛髪内部って?

それを明らかにするために、 前回の記事でご紹介した、SPring-8での研究が進められています。このSPring-8を使って研究が行われたことによって、電子顕微鏡でも捉えられなかった毛髪内部が見え、SPring-8の顕微FT-IRデータを解析し、可視化してみると、毛髪内部の様子をはっきりと確認することができるのです。

根元が立ち上がっている人の毛髪内部には、タンパク質が詰まっています。そのタンパク質のつまり度合い(密度)、髪の外縁部のタンパク質密度は高く、髪の内側の密度が低い、二重構造になっているのが理想的です(下図)。

ですが、この「二重構造」は年齢とともに不均一に崩れ出してしまいます。根元が倒れ始めた人は、外側の密度が高い部分が削れていることが考えられます(下図)。これが、年齢とともに髪の根元からシルエットが決まりづらくなる要因の一つです。ちなみに、ケミカルダメージが加わった毛先には、根元よりもさらに二重構造の崩れが進んでしまっている状態なのです。
milbonA

髪の根元の二重構造を保つことは、髪のシルエットを美しく保つためのカギとなってくるんですね。

研究開発への思い・・・

この研究のなかで、研究員の方々が非常に苦労されたのが「髪を極限まで水平に切ること。SPring-8で毛髪内部を見るためには、髪を水平に切る必要があります。これが非常にむずかしく、水平に切れる確率は、100回やって1回成功する程度だそう。日々細かな作業を続けられた結果、ついに研究が成功したのです。

彼らの研究への思いが伝わってきますね。

ちなみにですが、この研究成果は平成27年度繊維学会秋季大会で発表をし、若手ポスター賞を受賞しました。髪の毛のことが研究の業界でも注目されている証ですね。
milbon4

Writer aujua